2006年08月06日

福井晴敏「終戦のローレライ」

1945年、太平洋戦争末期の日本。
敗戦の色が漂うこの時代、一つの希望を見出すかもしれない兵器、
「ローレライ」がドイツから日本に密かに運ばれた。
ローレライの正体とは?
そして、ローレライを載せた潜水艦「伊507」で繰り広げられる男たちのドラマを描いた物語。

いやはや、正直な話、本当に読むのに苦労しました。福井さん!分からないです!(笑)
何度か匙をなげそうになりました。。。
というもの、戦時中の話ということで軍関係の名称が盛りだくさん。
大佐やら少尉やら・・・誰が一番偉いのか、無知な現代人には分からないんです(私だけ??)
しかも、潜水艦が舞台なので、潜水艦の構造やら位置関係やらが理解できないでいるもんだから、戦闘シーンなど、きちんと把握できていない部分もありました。。。

それでも読み続けることが出来たのは、そこに描かれている人間たちに魅力があり、何より続きが知りたいと思わせる力が作品にあるから。
中盤で、浅倉の思惑が明らかになったあたりから、もう目が離せず、一気に読み終わりました。ラストの展開には感服。
That's entertaiment!てな感じですね。

しかし、この作品、太平洋戦争を描いた作品ではあるが、歴史小説ではないなぁと思います。
あくまでエンターテイメントであって、その題材にたまたま太平洋戦争を使っただけ。
実際問題、「ローレライ」は実在しないわけですしね。
この作品の戦争の捉え方は、現代を生きる福井晴敏の視点を通して描かれたもの。
そこを踏まえたうえで、エンターテイメントとして読むべき作品です。

エンターテイメントとしてはかなり面白い!
登場人物の描写にしても、本当に丁寧でそれぞれの思いが痛いほど伝わってきます。
処女作「川の深さは」に比べると格段に成長してますね。

繰り広げられる人間模様、熱い男たちのやりとり。
漫画のような展開というツッコミも勿論あるでしょうけど、
楽しんだもんがちでしょう。私は楽しみました。

「伊507」のラストは、胸が一杯で、泣きました。いや、号泣です。
フリッツや田口をはじめ、色々な人に感情移入してしまいましたね。
人物描写が本当に巧みです。

また、終章でパウラの視点から描かれる物語が、妙に切ないものがありました。
戦争を生き抜いた命、伊507の男たちに託された思い。
しかし時代は彼らの願ったようにはいかず、流されているだけの自分。
残された者の苦悩が、妙に胸を打ちましたね。。。
あと気になったのは、最後の最後に登場した天本。
彼が所属するのはのちの市ヶ谷なんでしょうか。


さて、映画についてにも一言。
この作品、もともと映画化を前提にして描かれたそうですね。
それにしては長すぎません??ちょっと欲張りすぎというか。
この量を2時間におさめるのは無理というものでしょう。
映画は観ていないのですが、原作ファンからはあまり評価が高くないようですね。
どんなもんでしょう?

私としては映画にフリッツが登場していないというのが本当に残念。
存在感のある彼がいなければ、面白さも半減ですよね。
まぁ、時間の制約がある以上仕方ないんでしょうけど。
しかし、実際にフリッツが登場するとしたら、どんな役者が演じるんでしょう。
かなり興味があります。


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posted by mikki at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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